2010年5月9日日曜日

辻井伸行さん

私の音楽に対する好みは昔から雑食です。誰が演奏しているなんて気にしない。かいてある詩の意味も興味はない。それらは全て、心が動いた瞬間に気にとめるだけ。だから、こんなことも度々あった。

ラジオから流れた曲にふと耳がとまり背筋が震え感動した。
英語の歌だった。意味は勿論わからない。そして新しくはない。
また聞きたいと思ったが、曲名が分からない。その夜、曲の持つ雰囲気がしばらく全身を包み夢心地で寝る。そしていずれ忘れる。また、いずこかで聞いては「コレ!あの曲だ!」と何度か繰り返す。数年後、かの有名な曲「What a Wonderful World」であることをようやく知り得てCDをゲットする。
そして、少年のようにこの曲の素晴らしさを他人様に熱く語りだす。
「ルイ・アームストロング?ルイスアームストロング?って人のWhat a Wonderful Worldって最高だよ!」
「あー?・・サッチモね」と誰もが何を今さら的なクールな反応。
「サッチモ・・・あーこの方が」と接点がつながると同時に、
「そんな細かいことどうでもいんだよこのやろう!何がアーだ!」と得も言われぬ憤りが全身を貫いた。
なんで、こんなに感動するのかわからない異国の古い曲。ある番組で、彼の人生とこの歌の背景、歌詞を知りがバカみたい泣き崩れてしまう。何度気いても飽きがこない。

いつだったかテレビから流れるピアノ曲を聞いたとき、「なんだコレは」と気になる。少年だった。しばらく頭に引っかかっていた。今年になり知ったがそれが辻井さんだった。私はピアノ曲が琴線に触れながらも感動した記憶がほとんどない。「凄いなぁ」で終わってしまう。改めて聞いても感動がない。少ない経験の中ではあるが何を聞いても満足できなかった。1、2度聞くとまず飽いてしまう。飽いてしまうならまだいいが、耳障りになることも多い。ヒステリックに聞こえることも。なので、この時は自分に驚いた。

彼のピアノは演奏しているというより肉体から奏でているかのようだ。音符がなく、ひっかかりがなく、私が当たり前のように歩き、食し、呼吸するかのように当然で、滑らかで自然に聞こえた。目のこをと知ったのは後だった。ピアノに対して今までつかえていたものがスっととれたようだ。幸福で穏やかな感覚だった。最近TVを見て、彼の名前と背景を知りいたく納得がいった気がした。彼の人間性が、技術にのって奏でられていたのだと勝手に解釈している。