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2011年6月23日木曜日

深山幽谷の超人

「本当にいた!!」
今から15年前、野尻先生に出会った初日にそう思いました。

漫画や映画でよくいるヒーローのパターン。
昔、彼らはなぜか深山幽谷にいました。

しかし実際にいるわけがない。
そう思ってました。

何故なら、それほどの能力をもっていれば圧倒的に目立つはずです。
それほど優れた人であれば話題にならないわけがありません。
それほど能力があるのであれば、自らも前へ出るでしょう。
ましてや、深山幽谷では生きてはいるはずがない。

でも、コンクリートジャングルの下町にいたのです。

私はその夜、嬉しくて涙が出ました。
こんな漫画みたいなことが現実に、本当にあるとは。
宝島を見つけた心境でした。
一人で興奮して笑っていました。

見つからなかった理由が一つわかりました。
ヒーローは徹底して人前に出たくない人でした。

野尻先生は、「人前には絶対に出たくないと」と執拗なほど仰りました。

いつだったか、壇上でスピーチをする必要がでた時、
「マッちゃん、かわりに壇上に上がってよ。いいね」と仰りました。
「え?!なんで私が」と、当然の反応の私。
「出たくないんだよ。頼むから。賞状受け取って、適当な挨拶すればいいだけだから」
「えーーーっ!?それは先方に失礼にあたるのではないですか」
「失礼じゃないよ!壇上に上がるなら賞はいらないって言ったんだけど、どうしてもって言うんだから。頼んだよ!これから僕のかわりに壇上に上がるのは全部マッちゃんの役目だから」
「えーーーーっつ!?どうなってもしりませんよ。少なくても許可だけはとっておいて下さい」

結局、すったもんだやった挙句に本人じゃなくてはダメとなり(当然でしょうが)出られたようです。
その時の心境をこう仰ってました。
「あーやだやだ。人前に出るだけでも嫌なのに、壇上に上げさせられて、挙句に喋るなんて。もう二度とやりたくないね」

書いている所を記録を残そうとカメラを向ければ、まるで猛禽類のような鋭い目線で、
「なんだいそれは?」と問いかけてきました。
「迷惑ならやめます」と私が応えると、
「迷惑なんて言ってないよ。”なんで撮るんだい”って聞いているんだ」と、まるで全身の毛が逆立っているのかとすら思うほど圧倒的なオーラで問いかけます。しかし、口調はあくまで丁寧に、私に威圧感を与えないように、ゆっくりと、優しく問いています。私は直ぐに、私の行為を尊重してはくれるが、本音は嫌なんだと察しました。嘘やオベッカ、おためごかしは一瞬で見抜かれるので正直な本音を言いました。
「・・・撮りたいからですけど。書く邪魔になるなら止めます」
「邪魔だなんて一言でもいったかい?その程度のことで書く邪魔になんてならないよ。僕を素人と一緒にしないで欲しいね。”なんで撮っているんだろうな”って素朴な疑問として思っただけだよ」と。

私は一瞬ためらいましたが、やっぱり撮ることにしました。
「先生は書いているところが凄いカッコイイんですよ」と私。これも本音でした。
「カッコイイねぇ・・・」
「先生は今のうちにカメラに慣れておいた方がいいですよ。10年もしたらそれこそ一杯撮られるようになりますから」
「なるのかねー!!ゾッとしないね!!嫌だ嫌だ・・・そういう嫌味なことを言うもんじゃないよ。気分が悪い。言っておくけどね、僕は有名になんてなりたくないよ」
「なぜですか?」
「書く上で邪魔にしかならないでしょ」
言いながらも手はまるで別人格のように筆をはしらせていました。

その先生が大人しく撮られるようになっているのですから不思議です。
嫌いなことにかわりはないようですが、
今では好きも嫌いもなく撮られるようになったようです。

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